第14章 「 日本の行政改革に必要な問題解決法 」
世界文法ー21世紀を創る統合力と3次元文法ー |
●昭和40年代のころ、アメリカでは、ジェネラル・エレクトリック社の購買部長ロ ーレンス・D・マイルズが、VE(価値工学)を創造しました。VEとはバリュー・ エンジニアリングのことです。優れた発想法です。一言でいえば、価値とは、コスト の最小化で最大の機能を創造した時に産まれる。という発想ですが実にシンプルです。 そして的を得ています。電気・自動車・ロボット・精密機械・航空機・半導体・パソ コンソフト・サービス業の改革でもハード・ソフトの両面での科学的問題解決法です。 ●これをアメリカでいち早く採用したのが、マクナマラ国防省長官です。軍事産業の 業界では、毎年企業が軍事製品を政府に採用してもらう為に値段を吊り上げています。 そして壊れるように創る為に最終最高製品は創ろうとしない世界です。その方が儲け を長期的に持続できるからです。しかし、このことは米国予算では、国防予算の吊り 上げになりますから、アメリカでは「VE国防省マニュアル」を作り全軍事産業業界 に配布して、毎年機能を上げて、コストを下げる企業からのみ、軍事製品を採用する ことに決めたのです。企業にはVE活動を義務づけたのです。ベトナム戦争の頃です。 ●軍の予算管理や事故を起こさないための業務改善に非常に役立ちます。国防費増大 も防げます。「何のために」という目的を明確にした手段が無限に創造できます。単 なるコスト・ダウンではなくて、国防価値を高めることが出来ます。コストを下げて 防衛機能を高めることができます。機能を高めて国防費を低減するためにも必要です。 ●日本では、この改善思想を、ほとんどのメーカーの社員は知っています。政治家や 公務員は、この改善思想を知らず、あまり勉強もせず、知りません。だから、行政改 革が、日本では進化しないのです。停滞しています。行政改革といえば、すぐに首切 りと判断して、あまり研究をしないのが日本です。行政改革とは、公務員や高級官僚 の首切りではないのです。組織構造の機能を高める価値増大の思想が基本に必要です。 ●このアメリカの動きを、日本生産性本部が戦後に着目したのです。アメリカの現地 視察をした一団は、現地のアメリカの様々な企業を見学して、ショックを受けたそう です。多くの日本人の参加者が、アメリカ人の合理性と、民主主義に注目したのです。 ●戦後における日本のコピー機械のオリジナルの新製品の開発の話があります。当時、 アメリカのゼロックス社が特許で押さえて、独占していましたが、アメリカから輸入 して、コピー機械を分解し機能を抽象化し言語整理して機能系統図を作成し、さらに 個別の機能ごとに、新しく、形状とコストを皆で考えて、新たに、アメリカの特許に 抵触しない新形状を作り上げて、さらに、いくつかの形の組み合わせの中から、最少 のコストになる形を選び、純日本式の新しいコピー機械を作り、新特許をとり、日本 で、新たに生産を始めたのです。「コピー機械」は、実に良く売れて、今や、日本の 輸出品です。世界最先端の日本のカラーコピー機械は独占的な市場を形成しています。 ●世界的にも、歴史的にも、これからも無限に新しい特許製品が出てきますが、実は、 機能の分析と、機能を再設計する力があれば、何も怖くはないのです。コピー機械と いえども、世界に180ヶ国あれば、180通りの機械が出来るわけですから、機能 設計法という手法を磨き、開発し、さらに、豊富化すれば電機・自動車・機械・建築・ 金融・保険・情報産業・核融合発電業界・携帯電話・ロボット業界にも貢献できます。 ●21世紀のIT革命でも、世界的な大競争が、情報分野でこれからも活発になります。 名詞+形容詞から、名詞+動詞への切り替えをするという改善の思考法と、機能を中心 に、観察と推理と設計をすれば、必ずや、すばらしい問題の解決法は産まれてきます。 あくまで、機能を抽出する時には、名詞+動詞の動詞を他動詞のみだけと限定せずに、 自由動詞に広げて、自由奔放に豊かに創造することです。古い発想を超えることです。 ●日本政府や、自衛隊や、警察機構や、自治体・各種法人・社団法人・大学等教育等 の機関や、企業経営者が、さらに勉強して、創意工夫をすれば、すばらしい改善案は 無限に足元から生まれてきます。海外の手法の長所を取り込みつつ、独創を創るのは、 昔から、歴史的に、日本のお家芸であります。ものつくりのうまい日本は進化します。 ●小生は、スターリンの独裁時代の中でも、シベリヤ収容所の中で、頭だけで考えた アルシュラーの情熱的な知性や、アメリカでも、クリントン大統領が、行政の改革で アメリカ政府の関係者に対して、アメリカの独自のVE立法の法案を義務づけた経緯を 知り、このような大きな理念で動くアメリカ政府の関係者にも敬意を表し尊敬します。 ●日本の政府関係者は、こういう歴史からも学び、電子政府の創造基本法を提案して、 同時に、世界的な問題解決法をも学びながら、義務づけて、全国の公務員と自治体の 公務員にも、こういう問題解決法を体得させれば、大いなるコスト改善と機能改善が 進みます。価値拡大も図れます。まさに、21世紀の豊かな日本ができると信じます。 ●21世紀には、多くの成功者を創造するためにも日本改革が必要です。親方日の丸 主義による、安易な税金垂れ流し構造への疑問があります。さらに否定を進めながら、 美しく豊かな、人を愛する日本的文化を、この日本に創ることが大切です。スローに 進めることが大好きな日本民族です。問題解決の解決策も、スローに、スマートに作 りながら、行政改革をも進めたいものです。問題開発と問題設計ができる人は、必ず 成功しています。解決策は足元にあります。問題を発見して、解決策を発明する人は 問題が発想できる人です。その時点で、解決策の答えをすでにその人は持つからです。
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